法人の種類には、株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人のほか、学校法人、医療法人など様々なものがあります。
株式会社
株式会社は毎年約8万社の設立があり、総数は平成24年末現在で約250万社と法人全体の約96%を占めています。
平成18年の会社法改正により有限会社制度が廃止され、株式会社制度に統一されました。それまでの有限会社は株式会社に変わりますが、会社法の規定により従来の有限会社制度の主要なルールを特例として受けられる「特例有限会社」として位置づけられることとなりました。特例有限会社は、そのまま存続できますし、通常の株式会社に変更することもできます(特例有限会社の商号変更による株式会社設立)。
このほか、同年の改正会社法では会社の設立をより容易にする観点から、最低資本金制度の撤廃、類似商号規制の廃止、払込保管証明書制度の一部廃止などの改正が盛り込まれました。
最低資本金制度の撤廃により、資本金1円で会社を設立できることとなりました。(5年以内に最低資本金以上の増資の実施、各種届出・計算書類の国への提出といった、それまで「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」で定められていた要件はなくなりました。)
「類似商号規制の廃止」は、同一市町村において他人が既に登記した商号について同種の営業について登記することができないという従来の規制を廃止したもので、これと併せて「会社の目的」の柔軟な記載が認められることとなりました。
また、それまで出資の払い込みの証明のため必要とされていた金融機関の「払込保管証明書」が不要となり、預金通帳の写しと定型の書面を合わせた添付書類で足りることとなりました。
合同会社(LLP=Limited Liability Company)
平成18年の会社法改正により合同会社の制度が創設されました。合同会社は有限責任社員のみで構成され、組織の内部自治を認める新たな会社形態です。合同会社の設立件数は毎年増加しており、平成24年に約1万件設立され、合同会社数は24年末現在約3万4千社となっています。
合同会社は株式会社と比べて、
・出資比率によらない自由な利益分配を行うことができる、
・定款自治の範囲が広く、会社法に違反しない限り自由に定款で組織などを規定できる
・決算公告の義務がない、役員の任期を定めなくてよいなど、様々な手続きの負担が軽減できる
・公証役場での定款認証手続きは不要、また登録免許税の費用が6万円と低コストで設立できる
といったメリットがあります。
したがって、創業のほか、ジョイントベンチャーなどで迅速に組織を立ち上げたい場合などに役立つ制度と言えます。
一方、株式会社と比較したデメリットとしては、
・「合同会社」の名称が十分浸透していないため相手先によっては取引の制限がある可能性がある
・人材募集の際に不利になる可能性がある
などですが、制度設立から大分たっており数も増加しているためこのようなデメリットも少なくなってきていると思われます。
一般社団(財団)法人、公益社団(財団)法人
公益法人制度の抜本的な見直しにより、平成20年12月から「一般社団法人」が制度化されました。見直しの背景としては、最近の社会・経済情勢の進展を踏まえ、民間非営利活動を社会・経済システムの中で積極的に位置付ける必要があったこと、民法第34条による公益法人について諸問題が指摘されていたことがあります。
この見直しにより、従来の公益法人の主務官庁制・許可主義が廃止され、準則主義により登記のみで設立できる一般社団(財団)法人の制度と、合議制の委員会による公益認定の仕組みが導入されました。公益認定の要件としては、公益目的事業支出が全支出の50%以上であることなど17項目が定められています。公益社団(財団)法人として認定されると税の優遇措置を受けることができます。
NPO法人
これに対して、特定非営利活動法人(NPO法人)は1998年に制定された特定非営利活動促進法(NPO法)に基づく法人であり、市民が行うボランティア活動など特定非営利活動の健全な発展を促進する観点から創設されました。制度導入当時はまだ主務官庁制の民法法人しかなかったため、民法上の社団法人の特例として導入されたものです。平成25年現在約4万9千件の認証件数があり、毎年2~3千件ずつ増加しています。
ここで、特定非営利活動とは、特定非営利活動促進法別表において掲げられた保健医療、社会教育など20種類の分野に該当する活動を言います。
特定非営利活動法人(NPO法人)は認証の簡易な手続きによって設立することができますが、それだけでは寄付金に係る税制上優遇措置をうけることができず、優遇措置を受けるための認定制度があります。平成25年現在の認定法人は569件となっています。
2012年3月31日まで国税庁長官が認定していましたが、同年の特定非営利活動法人法の改正により、所轄庁(都道府県又は政令指定都市)が認定する制度となりました。認定を受けるためには次の要件を満たしている必要があります。
・設立の日から1年を超える期間が経過していること
・パブリック・サポート・テスト(PTS)に適合すること
(設立5年以内1回限りPSTが免除される仮認定の場合を除く)
・事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50%未満であること
・運営組織及び経理、事業活動の内容が適切であること
・情報公開を適切に行い、事業報告書等を所轄庁に提出していること
・法令違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと