建設業について

Posted by motto_kmd 2024/11/07

建設業の概況
建設業許可業者数は平成11年度の60万超をピークに、公共工事の減少などを背景として減少を続け、24年3月末現在で483,639業者となっています(国土交通省「建設業許可業者の現況」)。また、建設業に従事する労働者の数は現在約510万人となっており、ピーク時の1997年と比較すると約25%、数にして170万人ほど減少しています。

23年度の建設業者の増減を見てみると、新設が16,034業者に対して、廃業が31,201業者で計15,167業者の減となっています。建設業の内訳をみると、一般建設業の許可を取得している事業者は462,538 業者、特定建設業の許可を取得している事業者は43,753 業者。また、業種別に見ると許可を取得している事業者が多い上位3業種は、「建築工事業」170,554 業者(全体の35.3%)、「とび・土工工事業」159,264 業者(同32.9%)、「土木工事業」139,049業者(同28.8%)です。

平成25年度の建設業の投資額の見込みは約50兆円で、その内訳は政府投資が21兆円、民間投資が28兆円となっています。政府投資は平成7年度のピークから37%減少しているものの、東日本大震災の復興重要や民間の設備投資の増加などにより平成23年以降回復基調にあります。2020年にオリンピックが東京で開催することが決定されましたが、鉄道・道路などのインフラ整備、関連施設の整備などにより東京都の試算によると2020年までに建設業界で4745億円の経済波及効果があると見込まれており、長く低迷が続いていた建設業界にとって大きなチャンスが到来する見込みです。ただし、震災復興特需で建設案件が増大したことに加えて、安倍政権が発足してから大型の公共事業が相次いだことで、建設労働者不足が深刻になっています。

建設業許可の取得
建設業法上、一定の「軽微な建設工事」については許可を受けなくても請け負うことができることとされています。「軽微な建設工事」に該当するのは①請負金額1500万円未満の建築一式工事と②①以外の種類の工事で請負金額500万円未満の場合です。
このため、これ以上の額の工事を実施する場合には建設業許可が必要となります。ただ、この金額以下の工事しか実施しない場合でも、元請け業者が下請けの条件として建設業許可の取得を求める場合も多いですし、建設業許可を取得しておくことで業者としての信頼が高まり、より大きな工事を行うビジネスチャンスも広がりますので、どの業者もなるべく建設業許可を取得することが望ましいといえます。

建設業の許可は大きく一般建設業と特的建設業に分けられます。特定建設業とは、発注者から直接請け負った1件の工事代金について、3,000万円(建築工事業の場合は4,500万円)以上となる下請契約を締結する場合で、これ以外は一般建設業となります。特定建設業は多くの下請負人を使用して工事を施工することが一般的であることから、許可要件が一般建設業と比べて重くなっています。

建設業の許可は、建設工事の種類 (業種)ごとに行います。 業種は土木一式工事と建築一式工事の2つのほか、26の専門工事の計28の種類に分類されており、この建設工事の種類ごとに許可を取得することが必要です。

建設業許可を取得するためには、建設業法で定めるいくつかの要件を満たす必要があります。具体的には、建設業法第7条に許可に必要な4要件が定められています。

①経営業務の管理責任者(経験者)が常勤でいること
 適正な建設業の経営を維持する観点から、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低でも1人は必要とされています。具体的には、常勤の役員のうちの1人(個人の場合本人)が、経営業務の管理責任者としての経験を、許可を受けようとする建設業であれば5年以上、その他の業種であれば7年以上有することが必要です。

②専任技術者を設置していること
 営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置することが必要です。許可を受けようとする建設業が一般建設業であるか特定建設業であるか、また建設業の種類により、それぞれ必要な資格等が異なります。

③請負契約に関して誠実性を有していること
 請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。

④財産的基礎又は金銭的信用を有していること
建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎等を有していることを許可の要件としています。 特定建設業の許可については、この財産的基礎等の要件が一般建設業よりも加重されています。
 <一般建設業>の場合、次のいずれかに該当することが必要。
  ・自己資本500万円以上
  ・500万円以上の資金調達能力を有する
  ・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する
<特定建設業>の場合、次のすべてに該当することが必要。
  ・欠損の額が資本金の20%未満
  ・流動比率が75%以上
  ・資本金の額が2,000万円以上かつ、自己資本の額が4,000万円以上

○一定の欠格要件に該当しないこと(同法第8条)
 許可申請書またはその添付書類中に虚偽の記載があった場合や重要な事実に関する記載が欠けている場合のほか、許可申請者や法人でその役員、支配人又は建設業に係る支店・営業所の代表者が建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない場合、営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない場合、暴力団員の構成員の場合、破産者の場合など一定の要件に該当する場合は許可されません。

建設業許可申請の手続き
建設業の許可は、2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合は国土交通大臣 、一つの都道府県の区域内のみに営業所を設けて営業しようとする場合は都道府県知事に許可を申請します。

許可を受けようとす る場合は、許可行政庁(地方整備局等)に許可申請書及び添付書類を提 出することが必要です。なお、これらの資料のほかに一定の確認資料が必要となります。

なお、許可を申請する場合は、次のとおり「登録免許税」または「許可手数料」 の納入が必要です。
・国土交通大臣の新規の許可 登録免許税15万円
・国土交通大臣の許可の更新及び同一区分内における追加の許可 許可手数料5万円
・都道府県知事の新規の許可  許可手数料9万円
・都道府県知事の許可の更新及び同一区分内における追加の許可 許可手数料5万円

また許可取得後において許可の申請書及び添付書類の記載内容に変更が生じたときは、変更事由ごと に定められた期間内に、許可を受けた行政庁に変更届等を提出しなければなりません。